八十六枚目/国旗と国章(3)
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こんにちは。映像ディレクターでデザイナーの清森達士です。(お仕事の詳細はWORKSから)
先日から国旗と国章というテーマでこのブログを書いてきました。
国旗は誰でも知っているのに国章は知らないことが多い。また、アメリカも日本も、そもそも正式に国章というものを定めていない、という内容でした。
デザインやシンボルマークに関心がなければ気にならないかもしれませんが、国のマークである国章が正式なものではないというのはなかなか衝撃的です。
また、国章ではなく国旗の方がシンボルとして機能しているという問題についても、考えてみました。
昨日のブログに書いた通り、アメリカに関して言えば国旗の方が先にできています。国章はその後に作られたものでした。
国旗と国章は簡単に言えば旗とマークです。旗は立てるものであり掲げるものです。
なぜマークではなく旗が先行したかという疑問については、戦争が関係するのではないかと考えました。
旗というものは広い場所で目印になるためのものです。また、携帯性に優れています。
戦場で敵と味方を見分けるために使われた旗が、マークである国章より国家のシンボルとして機能するのは必然だったかもしれません。
また、国章はヨーロッパなどの貴族の紋章などがルーツになっているようです。(日本の国章も天皇家の紋章である菊花紋章を使用しています)
紋章の複雑で凝ったデザインに比べ国旗はシンプルなものが多いです。
一部に紋章を取り込んだデザインも見られますが、基本的に単純な色や形で構成されていることが見て取れるかと思います。
このことについて、専制君主制から民主主義に移る過程で、誰にでも再現できるように単純化が進んだという説があるようです。
確かに再現性という意味では、特殊な道具や技能がなくてもよいシンプルなデザインの方が理にかなっています。
また、民主主義国家は支配する民を持たないので、権力を誇示するようなデザインや特定の家の家柄、氏族を示す必要もありません。
人間の営みが国章ではなく国旗の方を要求し、シンボルとして用い、そのデザインも簡略化させたと言えるかもしれません。
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